近代の探偵業(調査業)の歴史は一般的に明治25年にその起源を求めることができます。
このような長い歴史を持ち、個人情報に密接に関連する業務であるにも関わらず、日本には近年まで探偵業(調査業)を規制する法律がありませんでした。
その為、悪質業者による調査対象者の秘密を利用した恐喝事件や違法手段による調査等の不適正な活動等が後を絶たないという経緯から、探偵業について平成18年6月に法律第60号でいわゆる探偵業法が制定され、翌平成19年6月1日に施行されました。
法律の規定により、探偵業法の見直しがなされましたが厳しい規制も無く引き続き現行法通り実施される運びとなり、一安心したところであります。
ところが、その後 探偵業の届出をした一部の業者が
1.住民票の写しや戸籍謄本を不正手段により交付を受けていた事案。
2.貸金業者と共謀の上、顧客の信用情報を目的外に不正に入手していた事案。
個人情報を不正に取得し警察に関係法令違反容疑で摘発される事件が、相次ぎ発生しました。
これは、探偵業務とは直接関係ないとはいえ由々しき事態であります。
これを受け、警察庁生活安全局生活安全企画課長名で主要 探偵業者団体に対し〔法令の遵守の徹底について〕という要請がありましたが、これは実質的には警察から探偵業者に対する強い指示指導、警告であると認識しなければなりません。
なぜなら探偵業法の目的は、法第1条に定めるとおり法令順守による適正な業務の推進と個人の権利利益の保護にあり、これに反する法令違反があった以上、看過できない極めて悪質な事案であるからです。
今後、このような事案が頻発すれば、警察等関係当局はもとより国民からの批判も高まり、最悪の場合は探偵業法の改正という厳しい事態に陥りかねません。
そうでなくても現在、探偵業務を行う上で何ら法的権限もない中、依頼者からの要求もますます複雑で多様化しており、探偵業務が困難を極めております。
このような現状から、規制が強化された場合には実質的に探偵業務は制約、限定されることとなり、殆どの探偵業務の遂行が困難となることは明白であります。
しかし、依頼者から探偵業者に対して依頼がある以上、法の規制が厳しくなろうとも、その負託に応えるために我々業者は合法、合理、妥当、しかも国民の理解と協力が得られる探偵業務を推進しなければならないことは当然のことであります。
また、過去の探偵業者の法令違反行為を分析検討してみますと、いわゆる悪徳業者が「順法精神を忘れ利潤追求を優先し、更に業者が被使用者の調査員に対する指導教育を怠っていた。」ことが大きな要因であると考えられます。
そこで、これらの現状を踏まえ探偵業者の適正な業務推進と依頼者の権利利益の保護を図り、明日の探偵業界をより良い方向に主導していくことを主目的として、警察等関係機関のご指導を頂き、去る平成24年6月4日一般社団法人 兵庫県探偵業協会を設立しました。
その上で、公平公正な運営を行うために、厳格に会則、入会規定等を定め更に4名の警察OBを理事として招聘致しました。
探偵業者の皆様におかれましては、当協会設立趣旨にご賛同の上、当会に是非ご加入頂き皆様方と当協会の益々の発展の為ご尽力を賜りますよう切にお願い申し上げます。
一般社団法人 兵庫県探偵業協会
会長 津野 憲正